高校の授業料は、平成26年度以降に入学した生徒に限り、高等学校等就学支援金制度適用で免除、または補助されるため、負担を抑えることができます。
高校3年間でかかる学費は、公立で平均約123万円、私立で平均約299万円となっていますので、制度を賢く使って、できるだけ負担を抑えるようにしましょう。
授業料を免除・補助してくれる「高等学校等就学支援金制度」とは
「高等学校等就学支援金制度」とは、公立高校については授業料を全額免除、私立高校については公立と同額の授業料が補助される制度です。
ただし、所得制限があるため、支給の有無や支給額は世帯年収などにより異なります。
また、自動的に支給されるのではなく、申請をしなければ支援を受けることはできません。
高等学校等就学支援金制度の趣旨
当制度は、全ての高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、授業料に充てるための就学支援金を支給することにより、家庭の経済的負担の軽減を図り、教育の実質的な機会均等に寄与することを目的としています。
なお、平成22年から高校授業料の無償化が開始されましたが、平成26年4月から名称の変更と内容の一部改正があり、現在の制度となっています。
そのため、当制度は平成26年4月以降の入学者が対象となります。
平成26年3月以前から引き続き高等学校等に在学している生徒には、「公立高等学校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度(旧制度)」が適用されます。
受給資格の条件と所得による制限
当制度の対象となるのは、「国公私立問わず、高等学校等に通う一定の収入額未満(市町村民税所得割額が30万4,200円(モデル世帯(注1)で年収約910万円)未満)の世帯の生徒」に限られます。
※「(注1)両親のうちどちらか一方が働き、高校生1人(16歳以上)、中学生1人の子供がいる世帯。」
また、授業料を負担しなければならないのは(支給対象外)、「国立私立問わず、「保護者等(注2)市町村民税所得割額が30万4,200円」”以上”の世帯の生徒」です。
※「(注2)原則、親権者(両親がいる場合は2名の合算額で判断)、親権者がいない場合は扶養義務のある未成年後見人、保護者がいない場合は主たる生計維持者または生徒本人の市町村民税所得割額で判断」
つまり、世帯で換算しているため、共働き世帯の場合は両親の収入の合算で見ることになります。
受け取ることができる金額
支給限度額は以下のようになっています。授業料が下記の金額に達しない場合は、授業料を限度として就学支援金を支給します。
区 分 | 支給額 |
---|---|
国立高等学校、国立中等教育学校の後期課程 | 月額 9,600円 |
公立高等学校(定時制)、公立中等教育学校の後期課程(定時制) | 月額 2,700円 |
公立高等学校(通信制)、公立中等教育学校の後期課程(通信制) | 月額 520円 |
国立・公立特別支援学校の高等部 | 月額 400円 |
記以外の支給対象高等学校等 | 月額 9,900円 |
例えば、全日制の高校の場合、支給額上限は月額9,900円となります。
ただし、単位制の学校の場合は、履修単位数に応じた額が支給されます。
この場合は、下記の表のとおり支給額に上限が設けられています。
単位制高校の場合の支給上限 | |
---|---|
支給対象単位数の上限 | 74単位 |
年間の支給対象単位数 | 30単位 |
支給期間の上限 | 36月 |
一単位あたりの支給額 | 4,812円 |
手続きの方法
申請手続きは、4月の入学時に行います。
下記の書類を学校等に提出する必要があります。
具体的な提出期限については各学校や都道府県において設定されます。
■ 受給資格認定申請書(学校を通じて配布されます)
■ 市町村民税所得割額が確認できるもの(市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書等)
また、上記の手続きにより受給資格の認定を受けた後は、原則、毎年7月に下記の書類を学校等に提出する必要があります。
この手続きは、継続して支給を受けるために必須ですので、忘れないようにしましょう。
こちらについても、具体的な提出期限については各学校や都道府県において設定されます。以下の書類が場合によっては必要となります。
■ 収入状況届出書(学校を通じて配布されます)
■ 市町村民税所得割額が確認できるもの(市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書等)
なお、虚偽の記載をして提出し、就学支援金の支給を受けた場合は、刑罰に処されることがあります。
高校3年間の学費(学習費総額)はいくらになるの?
では、高校3年間の学費(学習費総額)はいくらくらいかかるのでしょうか。
高校3年間でかかる平均的な学習費総額は、次のようになっています。
私立はもちろんですが、公立でも年平均で41万円程度かかることがわかります。
しかしながら、「高等学校等就学支援金制度」を利用すれば、費用負担を抑えることができます。
※表は、文部科学省:「平成26年度「子どもの学習費調査」の結果について)」より作成。
高校3年間でかかる費用 | 金額 |
---|---|
公立高等学校 | 1,229,937円 |
私立高等学校 | 2,985,885円 |
なお、上記の学習費総額は、
■ 学校教育費
■ 学校外活動費
の合計額となっています。それぞれの内訳は次でご紹介します。
学校教育費
学校教育費については、次のようになっています。
私立と公立では、約150万円の差があることがわかります。
※表は、文部科学省:「平成26年度「子どもの学習費調査」の結果について)」より作成。
高校3年間の学校教育費 金額
公立高等学校 728,076円
私立高等学校 2,220,432円
なお、学校教育費のうちの入学金(入学料)については、次のようになっています。
入学金は、公立ではほとんどありません。
※表は、文部科学省:「平成27年度私立高等学校等授業料等の調査結果について」より作成。
高校3年間の学校教育費 | 金額 |
---|---|
公立高等学校 | 728,076円 |
私立高等学校 | 2,220,432円 |
学校外活動費
学校外活動費については、次のようになっています。
私立と公立の差は学校教育費ほどではありませんが、それでも私立は公立の約1.5倍になっていることがわかります。
なお、学校外活動費には、学習に関する物品の購入や学習塾代などの「補助学習費」や、習い事などに関する費用である「その他の学校外活動費」が含まれています。
この「その他の学校外活動費」については、子どもに対する教育方針や居住地域(の習い事の各施設)により各家庭で金額は大きく変わってきますが、費用として認識しておいたほうがよいでしょう。
※表は、文部科学省:「平成26年度「子どもの学習費調査」の結果について)」より作成。
入学金 | 金額 |
---|---|
公立高等学校 | 5,641円 |
私立高等学校 | 162,362円 |
他、各都道府県の支援制度の活用も
高等学校等就学支援金制度以外にも、各都道府県で高校の授業料などに対する支援制度があるため、それを利用してみるのもひとつの手です。
概要は各都道府県により異なりますので、詳しくは各都道府県に問い合わせてみるとよいでしょう。
まとめ
子どもの教育費、特に学校教育費は年々増加傾向にあり、家計への負担は増しています。
高等学校等就学支援金制度は、その負担を和らげてくれる重要な制度です。
制度の概要を正しく理解し、きちんと申請を行いましょう。
高等学校等就学支援金制度を賢く活用し、ライフプランへの影響を最小限に抑えたいものですね。