幼稚園には私立と公立がありますが、それぞれの費用がどれくらいかかるか、また子どもを通わせるのにどのようなメリットがあるのかご存じですか?
ここでは、教育費や給食費、また必要なものにかかる金額の合計と、幼稚園での教育内容の違いなどについて解説していきます。
ご家庭とお子様に合った幼稚園を選ぶ参考になさってください。
私立幼稚園と公立幼稚園の学習費の平均
私立幼稚園と公立幼稚園の学習費の平均は、以下の表のようになっています。
区 分 | 私立幼稚園 | 公立幼稚園 |
---|---|---|
学校教育費 | 319,619円 | 19,382円 |
学校給食費 | 36,836円 | 19,382円 |
学校外活動費 | 141,553円 | 83,707円 |
合 計 | 498,008円 | 222,264円 |
※表は、文部科学省:「平成26年度「子供の学習費調査」の結果について」より作成。
学校教育費(授業料、学校納付金、遠足代、図書・学用品代等)、学校給食費、学校外活動費(補助学習費、その他の学校外活動費等)のいずれも、私立幼稚園が公立幼稚園を上回っています。
特に、私立幼稚園の学校教育費は公立幼稚園の約2.7倍になっており、また上記に含まれないバス代(通園バスの費用)や持ち物にかかる費用なども確認をしておいたほうがよいでしょう。
ただし、この子供の学習費調査を過去の調査(平成16年度、18年度、20年度、22年度、24年度、26年度)と比較すると、公立幼稚園の学習費総額222,264円は、過去6回のうち最も低い金額となっています。
私立幼稚園の学習費総額498,008円も、平成24年度に次ぐ2番目の低さとなっており、上昇傾向が続く小学校、中学校の学習費とは異なり、「幼稚園の学習費の上昇には歯止めがかかっている」といえるかもしれません。
私立幼稚園と公立幼稚園の特徴比較
今度は、私立幼稚園と公立幼稚園について、教育内容など各項目の違いを見てみましょう。
区 分 | 私立幼稚園 | 公立幼稚園 |
---|---|---|
管轄官庁 | 文部科学省 | 文部科学省 |
行政体制 | 文部科学大臣→都道府県知事→学校法人→私立幼稚園 | 文部科学大臣→都道府県教育 委員会→市町村教育委員会→ 公立幼稚園 |
おけいこ(教室) | ある場合も | なし |
給食の有無 | 幼稚園による | あるが、お弁当の日も |
先生の身分 | その学校法人等の職員 | 公務員 |
幼稚園の設備 | 充実しているところが多い | 私立ほどは充実していない |
教育内容 | 幼稚園により異なるが、設置者の教育方針等に沿い、各幼稚園の特色のある教育を行う | 自治体の方針に沿うが、教育の中立性・安定性・継続性も重視している |
幼稚園は私立、公立を問わず管轄官庁は文部科学省になりますが、行政の体制(所管関係)は大きく異なっています。
おけいこ(教室)は公立では基本的にありませんが、私立ではある場合もあります。
給食については、内容・実施回数とも私立、公立問わず園次第といえるでしょう。
先生は、公立は公務員ですが、私立はその学校法人等の職員ということになります。
また、幼稚園の設備については、全般に私立のほうが充実している場合が多いといえます。
では次に、教育内容を詳しくみてみましょう。
私立幼稚園の教育内容
私立幼稚園の教育内容は、英語教育や情操教育、心の教育、運動、音楽、動物とのふれあいなど、その園の教育方針に沿った特色のあるものとなっています。
宗教系の幼稚園では、礼拝などその宗教と接する機会も設けられています。
公立幼稚園の教育内容
公立幼稚園の教育内容も、基本的には園により異なりますが、私立のような大きな特色はみられません。
先ほどの行政の体制(所管関係)のとおり、市町村等自治体の方針に沿い、かつ教育の中立性や安定性、継続性も重視した教育カリキュラムが実施されています。
幼稚園以外の選択肢もある?
幼稚園以外の選択肢も当然あります。
代表的なものが保育園です。
幼稚園と保育園の違いについて、次で詳しくみてみましょう。
幼稚園と保育園の違い
子どもの預け先として、幼稚園と保育園では何が違うのでしょうか。
下のように表にして比較してみると、違いがいくつもあることがわかります。
区 分 | 幼稚園 | 保育園 |
---|---|---|
管轄官庁 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
子どもの 対象年齢 |
満3歳~小学校入学前までの 幼児 |
0歳~小学校入学前までの 乳幼児 |
保育時間 | 4時間を標準とし各園が定める | 原則1日8時間 |
先生の資格 | 幼稚園教諭免許 | 保育士資格 |
保育料 | 私立は各園が、 公立は自治体が設定 |
自治体(市区町村)が設定 |
まず、幼稚園の管轄官庁は前述のとおり文部科学省で、幼稚園の先生は学校教育法に基づいて教育を行います。
一方、保育園の管轄官庁は厚生労働省で、保育園の先生は児童福祉法に基づいて保育を行うことになります。
預けることができる子どもの対象年齢も異なっており、保育園の方が広くなっています。
例えば、お母さんが「出産後、子どもが1歳になったら子どもを預けて復職する」と決めている場合、預けることができるのは幼稚園ではなく保育園ということになります。
また、預けることができる時間(保育時間)についても、保育園のほうが長くなっています。
これは、保育園に入園申し込みをする要件が、保護者が働いているなどの理由で、「保育に欠けること」とされているからです。
先生に必要な資格も異なり、幼稚園の先生は幼稚園教諭免許、保育園の先生には国家資格である保育士資格となります。
保育料についても、保育園、公立幼稚園は自治体が設定し、家庭の収入に比例して段階的に設定されていますが、私立幼稚園は園が一律で設定している点が異なります。
なお、保育園の費用(保育料)は、3歳未満の場合、比較的高くなる傾向にあります。
居住地域(自治体)や世帯の所得、子どもの数や年齢、保育時間などによって変わりますので、お住まいの自治体のホームページなどでご確認ください。
待機児童対策の一環…「認定こども園」とは
「待機児童」の問題を解決するために設けられた「認定こども園」。これは、保育と教育を一体的に行う施設のことです。
0歳から就学前の子どもを預けることが出来たり、預かり時間が長く、親の就労状況は問わないなどの特徴から、幼稚園と保育園の両方の良さを併せ持っているといえます。
こども園の保育料は公立幼稚園の学校教育費と変わらない水準ですが、バス代や制服などで発生するお金は園によって異なります。
一度各園に確認してみてくださいね。
また、「待機児童」や、認定こども園と同様に待機児童軽減策とされている「認可保育所」については以下で詳しくご説明しておりますので是非ご覧ください。
■ここまでできる!待機児童対策
→ /main/taiki/taisaku01/
→ /main/taiki/taisaku02/
戻ってくる費用や補助金について
自治体によっては、私立幼稚園の入園料や保育料を補助する制度を設けています。
例えば東京都渋谷区では、次の条件をすべて満たし、手続きを行うことで入園料補助金や保育料補助金が支給されます。
・ 通園施設:私立幼稚園または幼稚園類似の幼児施設(都が認定している施設)
・ 園児の住所:平成29年4月1日以降、渋谷区に住所がある、または住所があったことが、住民登録により確認できる
・ 園児の年齢:満3歳児〜未就学児(平成23年4月2日〜平成26年4月2日以降生まれで満3歳に達した園児)
金銭的な負担が和らぐので、幼稚園の選択肢が広がりますね。
参考:東京都渋谷区のホームページ(私立幼稚園などの入園料・保育料の補助)
まとめ
私立幼稚園と公立幼稚園、そして保育園にはさまざまな違いがあります。
それぞれの園の特徴を理解し、子どもの将来や健やかな成長を願って、子どもに合った園を選びたいものですね。
お住いの近くの幼稚園については、自治体のホームページを確認したり、ママ友から情報収集するのもよいかもしれません。
投稿者プロフィール
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22年間日本生命でのファンドマネージャーや法人営業勤務。その後、独立系FPに転身。現在、一色FPオフィス代表として、個人相談や執筆、講演に従事。生命保険をはじめ、DC(確定拠出年金)、債券、ETF、デリバティブ、企業年金に特に精通。
(保有資格)
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券アナリスト、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、1級DCプランナー、DCアドバイザー、管理業務主任者